島内地下式横穴墓古墳
出土品1029点が国の重要文化財に指定

 島内地下式横穴墓群は、 えびの市真幸地区島内にあり、東西650m、南北350mのおよそ12haに分布する、 5世紀初めから6世紀末まで営まれた古墳群です。平成24年7月、ここで出土した 銀象嵌龍文大刀 など1029点が国の重要文化財に指定されています。
 この古墳群は、明治38年に甲(よろい)や冑(かぶと)などが出土し、昭和8年、12基の円墳が宮崎県文化財として指定されましたが、 現在は1号墳だけが残っています。その後、昭和40年から50年代にかけて地下式横穴墓10基の調査が行われ、以来、令和3年7月現在まで178基の 地下式横穴墓が確認されていますが、分布面積からみると1,000基を超すものと想定されます。
 銀象嵌龍文大刀は、奈良県に2例しか出ていないとても貴重な大刀で、奈良を中心にするヤマト政権の下で活躍した軍仕に下賜かしされたものであろうといわれています。 また、短甲や冑、などもヤマト政権下で作られたものです。 このようなことから、えびのに住んでいた当時(5世紀~6世紀)の人々は大和朝廷との強力なつながりがあったことがわかります。
 地下式横穴墓は、刀剣等の武器・武具を大量に保有しつつも分け隔てなくキョウダイ(兄弟姉妹)で墓に埋葬されるという独特の墓制です。

島内139号地下式横穴墓
貴重な副葬品の発見

 平成26年10月21日、かつて無い大量の副葬品を伴う、定説を覆す139号墓が発見される。鹿角装鉄剣や銀装円頭大刀・木装長刀・象嵌鍛冶具・ 銅鏡・甲冑・鉄鏃等大量の遺物が出土しました。

■島内139号地下式横穴墓の年代は5世紀末~6世紀初頭 =古墳時代中期末~後期前葉。
■墓の形態は九州南部に特徴的な地下式横穴墓 (墳丘の有無は不明)。
■島内地下式横穴墓群の墓としては玄室は最大級。
■島内地下式横穴墓群は豊富な副葬品で知られ、 国重要文化財にも指定されている島内地下式横 穴墓群のなかでも、最多・最上位の副葬品が、 完全な状態で出土。
■男女と考えられる二人埋葬。追葬の痕跡はなし。
【被葬者像】
■地域の個性、高い地位の首長であっても地下式横穴墓に葬る。
■在地首長ながら、 ヤマト政権 との強い関 係をもち、各地を代表する前方後円墳の中でも全長40m程度のものを 築くクラスの評価が与えられた人物。
■実際にヤマト政権の軍団の末端に組み込まれたり、 あるいは朝鮮半島交渉などに関わり活躍 し、功績が評価された人物の可能性。
■時代の境に生きた首長:雄略朝~継体朝への政治変動期。
■139号地下式横穴墓の副葬品には新古の 二相ある。古墳時代中期と後期の境目に またがり活躍した人物。時代は雄略朝の 後から継体朝。
■2号人骨は女性。武器武具は基本的に男 性に伴うものなので、大量の副葬品は1 号人骨(推定・男性)が二度にわたって 手に入れた可能性。
■武器・武具の質・量から、武人的性格。 軍事などで功績のあった人物か。

鹿児島大学総合研究博物館 橋本達也教授 講演会より


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